芹谷屏風岩情報サイトへようこそ

このホームページは、滋賀県犬上郡多賀町屏風に位置する芹谷屏風岩で、クライミングをする全てのクライマーに情報を案内するサイトです。

個々のクライマーが自発的にクライミングを守り、このエリアが永続的に存続するよう大切に思って頂き、また次世代につながるエリアとなることを願い開設することになりました。

ここを訪れる皆様が、自然豊かな芹谷でのクライミングを楽しみ、充実したクライミングを行なって頂くに当たり、このサイトが少しでもお役に立てれば幸いです。

2023年4月 芹谷を愛する会

「芹谷を愛する会」は、芹谷に集うローカルクライマーの有志の会であり、エリアを次世代にも引き継げるようエリアの保全を目的として活動しています。
エリアの管理者・管理団体ではありません

芹谷屏風岩を利用に際してのお願い

芹谷屏風岩は、多賀町屏風区の皆様のご厚意によりクライミングエリアとして利用させていただいております。この場を借りて、下記事項に従ってご利用いただくようお願い申し上げます。モラルに留意し事故を起こさないよう十分にご注意いただきますようお願いいたします。

  • 火災を防ぐため山中での火気厳禁(焚火・喫煙による火気の扱い・コンロなどの使用を含む)
  • 動植物の採取、捕獲、殺害は禁止とします。
  • 樹木の伐採、塩や薬剤の散布、地形の変更を行わないようにしてください。
  • 万が一事故や事件が発生した場合は、消防・警察などと協議して自己の責任において処理してください。
  • ゴミなどの投棄は絶対に行わず、装備の残置やデポジットも禁止です。
  • 糞尿につきましては、適切な方法で処理してください。

活動状況報告

所轄官庁との情報共有と危急時の救助ヘリコプターホイストポイント設置

2023年11月16日(木)に多賀町・彦根警察署・彦根消防署・芹谷を愛する会(クライマー)総勢20名近くが集まり、ここでのクライミング活動が行われていることの情報共有を行いました。 芹谷を愛する会は、所轄官庁の方々と入山 …

芹谷の歴史

地形

芹谷屏風岩は石灰岩のクライミングエリアです。

その石灰岩は、遥か古代に太平洋上に発生した火山島の周辺に形成された珊瑚礁が、大陸プレート移動に乗って、やがてユーラシアプレートに衝突し強い圧縮と熱が加わり、石灰岩に変性形成されました。

Webサイト「ジオパーク秩父」より引用

また、日本列島の誕生よりはるかに古い7000万年前、超巨大噴火が起こり「湖東カルデラ」を出現します。

カルデラ形成解説 参照web 発見!地球号~滋賀の大地~

画像はWebサイトより引用

湖東カルデラは、東の鈴鹿〜南の田上〜西の比良にある花崗岩帯で見られるように滋賀盆地を形成する巨大なカルデラ地形を形成しました。湖東地域にある湖東流紋岩帯はこのカルデラ内での活発な火山噴火で出来た火山ドームや火砕流の痕跡です。この湖東流紋岩は滋賀のボルダリングエリアとして点在し、また滋賀を囲む花崗岩帯の岩場は、双方共クライミングエリアとしてよく登られてれています。

地表面の地質的には、鈴鹿の八風峠を境に南は花崗岩帯、北は石灰岩帯となります。

この石灰岩は、ユーラシアプレートに乗っかった石灰岩地層が、この湖東カルデラ帯に堰き止められ溜まり、鈴鹿東縁断層帯の活動隆起で露出したものであると憶測されます。やがて長い時間を経て大地は侵食され、この石灰岩帯はカルスト地形が形成されていきました。

多賀町のカルスト地形層は、古第三紀中新世から鮮新世(おおよそ2300万年前から500万年前)の時代に形成されました。鈴鹿山系北端に座する霊仙山は、カレンフェルトやドリーネ、大きな鍾乳洞を形成する顕著なカルデラ地形が所見されます。

この霊仙山を水源とする芹谷は、下流を大きく削るV字谷を形成し、芹谷屏風岩はその浸食作用で地表に露出した岩壁であります。

多賀町屏風

クライミングエリアである屏風岩は、滋賀県多賀町屏風区に所在し、屏風区の財産区となっています。

この屏風区は岩場の上部に所在し、数軒が集落を形成しています。集落の起源は定かではありませんが、江戸時代から存在したことが分かっており、盛期には100人を超える住人が暮らしていまた。かつては住人の殆どが林業、炭焼きを生業にしていましたが、後谷に石灰岩を採掘する鉱山が開業すると、屏風の住人もその多くが鉱山に就業するようになりました。これにより住人は安定的な現金収入を得られるようになり、集落は一時活況を帯びました。集落の家屋を見ると瓦葺の屋根が多く、当時の豊かさを伺い知ることができます。しかしながら、その後しばらくして鉱山が閉鎖されると、それと共に屏風集落も衰退の一途を辿ることとなりました。

現在は、住民の方々が集落(神社、寺、墓地等)を管理保全され、今も美しい山村集落の姿を今にとどめております。

クライミングエリア

1987年ごろより永井久雄氏など同人蜘蛛の糸を中心としたクライミンググループが、屏風岩をフリークライミングを行う岩場として整備(開拓)しました。(ルート数 約50本程度)その後、クライミングエリアとしてクライミング雑誌や山岳書籍に「芹谷屏風岩」としてガイド掲載され、全国に紹介されました。以降主に関西・中部圏のクライミング愛好者が数多く当地を訪れ、これまで数多くのクライマー達がこの屏風岩でクライミング活動を行ってきました。

ここでのクライミングは春・秋季が主なシーズンとされ、現在でも多い時には週末に10~20名の来訪者があります。近年の入山者傾向としては、開拓当初からのクライマーの来訪は減り、新規の方や次世代の若いクライマーも増え、老若男女問わずこの地でクライミングを行っています。

岩場周辺の自然環境は、開拓当初と大きな変化は見られませんが、露岩した地面や岩場の一部に崩落の恐れがある箇所も見受けられます。また岩場までの登山道も、県道に落石防護柵が設置された加減で、開拓当初とは一部経路が変わっています。(開拓当初の案内情報は古くなり、現状と合わなくなっています)

来訪者の駐車スペースとしては、旧芹谷小学校跡地前の路側帯を利用させて頂いています。無許可での利用ではありますが、路肩駐車等で起きる交通障害やトラブルなどないように配慮願います。

岩壁面には、クライミング中の安全確保のためのアンカーボルトが打たれています。(φ10~12mmの金属製の拡張アンカーボルト・一部チェーン付き、1ルート5~10本程度)このアンカーボルトの中には、経年劣化で一部切断・脱落の恐れがあるものが確認され、2023年春季にJFAにより屏風エリアはリボルトされました。(小屏風エリアは随時行っていきます)また、登山道を含む岩場周辺の急傾斜部や歩行困難な箇所には、手摺になる補助ロープ等を張り、また小屏風エリアへのアプローチも新規ルートを設定しました。

過去にクライマーが起因する重大事故やトラブルは無かったと記憶していますが、クライミング中に発生した事故にて救急搬送される事例は時折あります。

アプローチ&トポ

アプローチまでの道のり

芹谷屏風岩は滋賀県犬上郡多賀町に位置します。

(携帯電波は繋がりにくいです。特に駐車場やアプローチはつながりません。屏風岩付近は通信可能です)

国道306号線を河内の風穴方面へ曲がって県道17号線を進み「多賀小学校芹谷分校跡地」まで行きます。
芹谷分校跡の道向かいのガードレールに囲まれたスペース、またはそこから約50m先の山側のスペースに駐車できます。
向かいの芹谷分校跡は工事用の残土置き場になっていますので駐車禁止です。
また、その他の路肩も駐車禁止です。

なお、ガードレールに囲まれた駐車スペースは、たまに現場事務所が設置されることがあります。設置されていた場合には、工事関係者が出入りできるようスペースを開けて駐車してください(特に平日、土曜日)

駐車スペースについて

当駐車スペースは管理された駐車場ではありま せん。車両の管理につきましては利用者自身の 責任にてお願いいたします。

また、万が一事故や事件が発生した場合につき ましても、責任は利用者個人に帰属いたします ことをご了承ください。

アプローチ

岩場へは落石防止フェンスの川下側末端から入ってください(駐車スペースより270m先)
踏み跡やフィックスロープを辿って登ってください。
なお、アプローチは険しく石灰岩特有の滑りやすい地質です。それなりの準備を整えて登ってください(所要時間20分〜30分ほど)

アプローチ道や岩場に取り付き部の露岩は崩壊の危険があります。フィックスロープが設置されているので、歩行補助にして安全に通過してください。

ラ・バンバ取り付き・ビレイ点周辺は落石が頻繁に確認されています。ここを溜まり場とせず、またビレイの折にはヘルメットの着用をおすすめします。

トポ

最新トポ図は工事中です。

それまでは下記リンクトポを参考にしてください。

あはちの生岩ガイド『芹谷屏風岩』

2023年4月に行われたリボルトによるルート変更及び注意点について記述します。

諸事情により終了点とプロテクションの位置が変更されているルートがあります。登られる際は市販のトポや以前の記憶だけに頼らず、現地でルートを確認してください。位置変更の要点は下記の通りです。

*デッドライン ルート最上部の右側凹角部に冷蔵庫大の浮石が確認されました。ルートラインからは外れていますが、絶対に凹角部に入り込まないようお願いします。

*ゴーアウェイ 上部フレークが大変危険なため終了点を5m下げて新設。従来の終了点は残し、新設終了点から従来の終了点の間のボルトは撤去。

*バイタルポイント 最終ボルトの位置と終了点の位置が悪かったため最終ボルトの位置を調整して終了点を2~2.5m程度上の安定した位置(ガバで安定してクリップできる位置)に新設。ボルト本数に変化はありません。

6ピン目を既設位置ではカラビナが梃子になりそうなので、15cm程上に位置替えしました。10ピン目を旧終了点左下30cm辺りに位置変更しました。ルート上のリングボルト×2、RCCボルト、ハーケンを撤去しました。

*コアラのマーチ ルートに対してより適切な流れにするため1~1.5m程度上に移動。

*オールライト 出だしにボルトを1本設置し、プリクリップしないでも登れるようになりました。1本目を掛けるまでに落ちるとビレイヤーごと転げていきますので、フィックス用のボルトにクリップ(ゼロピン)して1本目を掛けた後、クライムダウンして回収するのをお薦めします。

要注意;2ピン目からの落ちるとギリギリです。クリップポイントやポジションにクライマー、ビレイヤー共に十二分に注意してください。

*ミステリアス 従来通りプリクリップでトライすることをお勧めします。

*ムササビ小僧 左の壁に独立した終了点を設置しました。ハイカラさんとは別終了点で降りられるようになりました。

*ハイカラサン 最後のボルトの既存位置では岩の出っ張りに干渉し梃子状態になるため約20cm下に位置替えした。1ピン目を同様の理由で約10cm上に新たに設置しました。

出だしのブロック状フレークホールドが浮いていましたのでグルーで補強しましたが、今後もクライマー、ビレイヤーともに十二分に注意してください。

*ダーティーフィンガー 終了点を既存の位置辺りの岩が不安定なため約80cm下辺りに位置替えしました。

*舞姫 既設4ピン目をロープの流れを考慮して右へ15cm程位置替えしました。

*骨折り男のダンス *ハングルーズ プロテクションがグージョンボルトだったのでリボルト対象外としました。

小屏風エリア 2023年4月時点でリボルトはおこなわれていません。またルートによって岩が不安定なルートや老朽化したボルトが存在します。随時リボルトする予定ではありますが、取り付かれる場合は十分なオブザベーションの上、自己判断でクライミング頂くようお願い致します。

小屏風上段・おかぶり岩・はぐれ岩は近年あまり登られていません。岩崩壊によりルートが消滅しているものもあります。(レディバグ・ブレス)

小屏風へのアプローチは大変不安定で崩落の恐れがありました。2023年新規にアプローチ道を設定しました。ムササビ小僧ビレイ点あたりより下降してトラバース道を辿ってください。(フィックスロープあり)アプローチ道は山腹トラバース道で、足元不安定な箇所もあるので注意してアプローチください。